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さて、前回はスキーマが、ちょっとやっかいながらも、使い方
次第でとても便利なものであるという事をお伝えしました。
前回の記事を読まれていない方は こちらをご覧下さい。
それでは、具体的にどうやって使えばいいのか?今回はその事に
ついてご紹介します。
まずは以下の実験からどうぞ。
●「図書館司書(以下司書)、ウェイトレスといえば?」という職業ごとの
ステレオタイプで最も代表的な特徴を9つずつ合計18個をピックアップ
します。
(司書ならば「メガネをしている、大きな本棚がある」等、ウェイトレス
ならば「ポップミュージックが好き、ちょっとセクシー」等です)
次に、ある女性が彼女の誕生日に夫と夕食をとっているというシーンを
ビデオ収録します。
ちなみに、このビデオの各場面には上記のピックアップされた18個の特
徴を全て含むようにしました。
実験はこのビデオを使って行なわれました。
まず、被験者にこのビデオを見せる前に、実験者が「今から司書(ウェイ
トレス)の女性のVTRを見てもらいます」と告げます。
そして、ビデオ鑑賞終了直後、4日後、7日後という条件で、そのビデオの
女性の印象への記憶テストを行ないました。
その結果、被験者が女性を「司書」と説明された時には、司書のステレオ
タイプの特徴を、「ウェイトレス」と説明された時は、ウェイトレスの特
徴を、それぞれより正確に記憶しているという傾向がみられました。
そして、被験者が覚えていた記憶は時間がたっても、高い正答率を示した
のです。【コーエン 1981】
●このことから分かるように、人間はあるステレオタイプのスキーマで物事
を捉えると、そのスキーマのパターンに一致する情報をより正確に記憶す
ることができます。
しかも、一度覚えた記憶については、忘れにくいのです!
ここまで読まれた方は、このスキーマが何に活用できそうか大体予想はつ
きますね。
そう、学習の効率化に応用できるのです。
例えば、あなたが司法試験を目指して今日から勉強をはじめたとします。
この時、いきなり分厚い参考書を開くのではなく、まず「法律」の全体像
が分かるような、易しい本を読み、あなたの中に「法律スキーマ」を作っ
てしまいます。
それから、民法・憲法といった、個別の法律の全体像を大まかにつかみ、
「民法スキーマ」「憲法スキーマ」をつくります。
そうやって法律に関するスキーマを作って初めて、個別の法律について深
く学習するとよいのです。
つまりスキーマとは、
「あなたの頭の中を整理する引き出し」のようなものともいえます。
ちなみに私の周囲で、勉強ができる人は、知ってか知らずかよくこの方法
で勉強しているようです。
このように心理学は学習にも応用できます。
しっかりとした心理学の裏づけのある、「スキーマの活用」で、勉強の達
人を目指して頑張って下さいね。
※自己アピールに関しての応用例はまた近いうちにご紹介したいと思います。
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