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私は格闘技好きで、よくテレビ観戦をしています。
ところで、試合前のインタビューでは、「やたら自分が強い事を
強調して興奮する選手」と「淡々と落ち着いた口調の選手」の2
パターンにはっきりと分かれます。
一見すると、自分が強いという事をアピールする方が強そうに見えますが…
本当のところはどうなのでしょう?
以下の実験を参考にして考えてみましょう。
☆その1☆
スポーツや芸術などの教育を受けた被験者に、「この分野で、自分はどれ位劣っ
ているか」を推定するように求めたところ、教育の年数が長くなるほど、自分の
位置を低く評価する割合が増えた。
☆その2☆
自分が興味を持っている活動の面白さを他者に伝える作文を書くように指示し、
その後実験者が「もうその内容は必要ない」と途中で中断させると、作文を完成
させた場合よりも、その後に行われた、その活動で自分が犯した失敗談について
報告する際、公表した失敗の数が少なくなる傾向があらわれた。
☆その3☆
被験者本人にとって関わりの大きな活動での失敗を6つ以上公表するよう求めた
ところ、あまり重要でない活動での失敗談を公表させた被験者よりも、その後に、
自分の興味ある活動での作文を書く時間が長くなった。
【ゴルウィツァー他 1982】
この事から、
・ある分野での自分に対してプラスの評価を達成できずに終わった場合、
自分自身の経験した失敗を公表したがらなくなる。
・最初に自分の失敗談を周囲に公表した場合、その後自分に対するイメ
ージをポジティブに方向付けようとする動機がはたらく。
と考えられます。
メジャーで活躍している、イチロー選手や松井選手がインタビューしている場面
で、彼らが自分の自慢をするところはほとんど見た事がありません。
2人とも長い期間、野球という分野で頂点を極め、本人も周囲もその事を自覚し
ているために、わざわざ自分で、自分自身のイメージを高める必要性がないから
です。
一方で、やたらと自分のこれまでの事を自慢したがる人は、あまりパッとした成
功がないと考えられます。そのため、自分に対する評価をどうにか高めたいとい
う動機がはたらき、やたらに自慢したがるのです。
ちなみに、経営者の中には、一応の成功を収めても、やたらに自慢したがる人が
います。
その場合には、過去の自分の失敗が強烈で、その頃の自分にコンプレックスを持
っているか、現在の事業に対して満足できない、あるいは社会的に評価を受けら
れていないと推測することができます。
ここまで読まれた皆さん、あえて省略しますが、最初の答えはもうお分かりですね。
うわべの「強がり」に惑わされることなく、誰が本当の実力者かを
見極めるときに、今日のテーマを参考にしてはいかがですか?
※人は誰でも認められたいと思うものですが、周囲の人間が認めてくれるときにはじめて、
内なる自信に変わり、謙虚な態度をとることができるのですね。
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